わたしは きめた日本の憲法 最初の話

7月21日発売

お知らせ

本文抜粋

朗読

巻末の二次元コードから詩の朗読が聞けます。試し聞きはこちらから。

絵本が生まれたきっかけ

2020年5月3日、憲法記念日に、詩人の白井明大さんが日本国憲法の前文を詩のことばに訳し、SNSにアップしました。それがはじまりで、2022年に詩訳はフリーペーパーの形になり、各地の書店やカフェなどに置かれ、訪れた人々が手にしました。コンビニのネットプリントで手にした人もいました。SNSやブログでもさまざまな人が詩訳を紹介し、思い思いにつぶやき、しずかな反響が広まり――あちこちに届いてゆきました。

この詩訳を、長く残せる形に、そして子どもたちの手にもわたる形にしたいという思いから生まれたのが、絵本『わたしは きめた 日本の憲法 最初の話』です。

詩訳白井明大

メッセージ

実は憲法というのは、いちばん身近な「法」なんじゃないかと思います。ひとりひとりが生まれつき持っている、かけがえのない自由や権利を守ってくれるから。私やあなたが、この国の主人であり、この上なく大切な存在なんだよ、と定めているから。そして、もう二度と戦争はしませんと、平和を誓っているからです。そんな日本国憲法の前文は、まぶしいほどの理想や希望に満ちています。前文の素晴らしさを伝えたくて、「法」の言葉に込められた「心」を汲みとるように、できるだけやわらかな言葉で、詩に翻訳したのが、この絵本の文です。阿部海太さんのあたたかな広がりある絵とともに、絵本のページをめくりながら、憲法の「心」を感じていただけたら幸いです。

白井明大(しらい・あけひろ)
詩人。1970年生まれ。詩集に『心を縫う』(詩学社)、『生きようと生きるほうへ』(思潮社、第25回丸山豊記念現代詩賞)など。そのほか『日本の七十二侯を楽しむ』(増補新装版、絵・有賀一広、KADOKAWA)など著書多数。近著は、日本国憲法前文をはじめ、国内外の大切な〈法〉を詩訳した『日本の憲法 最初の話』(KADOKAWA)。

阿部海太

メッセージ

日本国憲法とは、この日本という一つの国のあり方を指し示すためのものですが、しかしながら白井さんの詩訳と共にその前文を読むと、そこに描かれた理想は「国」という枠組みを遥かに超え、人それぞれの出自や性差を超え、さらにはこの星すらも慈しむような、輝かしい平和の世界を希求する強い決意に溢れていることがわかります。私は絵本の中で、この前文が描いた未来に生きるこどもたちを描こうと思いました。暖かな光の中、こどもたちが水や木々に囲まれながら伸びやかに生きる様を。その光景が眩しければ眩しいだけ、あの冷たく陰惨な戦争のこともそこに映るだろうと。もし戦争のない世界をこどもたちが生きるときが来たとして、それでも戦争が”なかった”世界というものはありません。そして同じく、これから決して戦争が起こらない世界というものもありません。理想を描き続けること。そう、この前文のように。その大切さが絵を通して少しでも伝われば嬉しいです。

阿部海太(あべ・かいた)
画家・絵本作家。1986年生まれ。絵本に『みち』(リトルモア)、『みずのこどもたち』(佼成出版社)、『めざめる』(あかね書房)、『ぼくがふえをふいたら』(岩波書店、第26回日本絵本賞)などがある。

反響の声続々刊行によせて

書誌情報

わたしは きめた日本の憲法 最初の話

日本国憲法の前文を、やさしい詩のことばで、一人ひとりの「わたし」に、「あなた」に、伝える絵本。
本書に掲載の二次元コードから、絵本の朗読を聞くことができます。

  • 白井明大 詩訳
  • 阿部海太 絵
  • 定価:1650円(10%税込)
  • 対象年齢:小学1・2年生から大人まで